ARGフォーラム
本の未来に関するフォーラムと聞いて,行ってきました.既にいろいろな方が感想やまとめを書かれているし,今更ですが,ryojin3も備忘録として書いておきます.
基本情報
- 日時:2009年8月17日(月)14:00〜16:30
- 場所:学術総合センター 一橋記念講堂
- URL:
- ARGフォーラム公式サイト
- 主催(岡本真氏)のブログ
- かたつむりは電子図書館の夢をみるか(かなり丁寧なまとめ)
- その他:
- 講堂は1〜2席おきにほぼ満員.400名来たか?
- 年齢層は老若男女バラバラ
- 入り口の案内等,手弁当風でいい感じ
- 席のテーブルが縦型に引き出すタイプで,使いやすいが出ずらい
基調報告 「ディジタル時代の本・読者・図書館:我々の創造性を高めるために」(国立国会図書館長・長尾真氏)
インターネットの時代
- 全ての人が情報の受信者・発信者
- あらゆる情報はネットにある
- ネット情報は信頼性が課題
電子図書館の現状
- 背景
- 利点
- 検索性
指定討論・質疑応答(司会:岡本真氏(ACADEMIC RESOURCE GUIDE))
金正勲氏(慶應義塾大学)
電子図書館の分類軸
- 主体:民間 or 公共
- 経営:営利 or 非営利
- 管理:集中 or 分散
- アクセス方式:オープン or 閉じている
- これらの組み合わせで分類できる→いくつか例があったがスライド送り早すぎでメモれず...orz
Google Book Search問題
- opt-in と opt-out
- 比較
- 様々な権利処理形態
- 韓国事例
図書館補償金制度
- 権利者許諾の代わりにデジタル利用に対して補償金を支払う制度
- 1ページ5ウォン,1ファイル20ウォン
- コピーは無料,出力(印刷って意味か)は補償金支払い
- 徴収と分配は韓国複製伝送管理センターが行う
提言
- opt-out方式+補償金制度の導入→デジタル化と権利保護のバランスを保つ,のはどうか
津田大介氏(ジャーナリスト)
津田氏と出版のかかわり
津田氏が感じる出版界の問題
- 書籍の執筆だけだと収入的にキツイという現状の打破
- 40歳越えライターを殺さないための方策の検討
- 若い書き手の確保
音楽と出版の比較
- 似ている:パッケージ売り
- 異なる:利益率の違い.出版は紙/印刷代がかかる
これからの本
- リアルタイムな情報(生の声)の流通には意味があるので,著者は読者をファンクラブ化して課金しても良いのかも
- 情報の仲介にも意味がある.専門家の知識ネットワークを活用したビジネスを展開してもよいかも
- 新素材の開発.紙に代わるもの
- ライフスタイルの提案.iPodの書籍版を考えてみるのもよい
橋本大也氏(IT起業家、ブロガー)
まえおき
- 書評ブロガーとして,年間300冊完読,200冊書評,計500冊は買うかもらうかする
- 世界最大の電子図書館はインターネット
- 書籍のデジタル化は進んでいく
- 図書館/出版者/著者の役割の再定義が必要?
「教会」としての物理的図書館
- 逃避先・人生の可能性の実感先・地域コミュニティの場・心の平安・知的雰囲気を味わえる場・・・として「教会的」な図書館は重要
著者の印税が9割になる出版モデル
- 著作活動で生計を立てられることがコンテンツ立国への近道なのではないか
有益な書評がすぐに見つかる仕組みの構築
- セマンティックWebの取り組みで実現できるかは未知だが,多読なため,本の選択で間違えたくない.だから有益な書評が欲しい.
- 面白い本とは,動機付けがあり,未知の内容を含んでおり,難易度・趣味が自分にあっている本.デジタルでここら辺をフォローできると嬉しい
- 感性の近い友人や先輩の声,って大事かもしれない
著者により多くの感想・反響フィードバックがある世界
- ブログの仕組みはフィードバックに向いている
- 著者と読者の共振で面白いコンテンツも作れる
パネルディスカッション(司会進行:岡本真氏)
フォーラム主旨説明
- 出版業界に身を置く"若い"世代が出版とデジタルやWebをどう捉えているのか,問題意識の確認と,それに対する何らかの提案ができれば,ということ
長尾氏のコメント
登壇者の再コメントや意見
- 金氏
- 韓国では9年も前から議論している.タイムラグが問題(要は遅すぎだということか).補償金は利用者がお金を負担するモデルなので問題ない.合意形成に向けてモデルを議論するのもいいが,ある時点で政治的な判断がなされてもよい気がする
- 津田氏
- 橋本氏
- 金氏
- 地方にいても様々なリソースにアクセスできるようになったこと
著者の印税が9割になる出版モデルについて
- 橋本氏
- テーマセントリック(専門特化)→ファンとスターの関係構築→コミュニティに直接売る
- 津田氏
- もっとフェア(50:50)で良い
- 個人はセキュリティ的に穴も多いが,出版社が法対応や事実確認等,機能のエージェント化やマネタイズをするのはどうだろう
- もっとフェア(50:50)で良い
- 金氏
- 市場原理に基づいた割当なら何対何でもいいのではないか.出版社なしでも本が売れることを証明すればよい.成功すればフォロワーが増える
閉会の挨拶(全体司会:内田麻理香氏)
- 終了の挨拶等
デジタルパブリッシングフェア
1ヶ月以上前の話ですが,国際ブックフェア+デジタルパブリッシングフェアに行って来ました.その時のメモです.
●基本情報
- 日時:
- 2009年7月9日(木)16:00〜18:00
- 場所:
- 展示会名:
- 参加者:
- 64,844人(過去最多だったらしい)
●電子書籍・電子出版関係
- 日立システムバリュー
- ZIPOT Digital Bookの紹介
- ブラウザでペラペラめくるコンテンツを閲覧するタイプ
- カタログ等でユーザが気に入った部分をマウス選択し,クリップすることでマイスクラップブックのようなものを作ることができる
- スクラップできないようにDRMをかけることも可能
- 韓国からシステムを導入して,日立で販売展開している
- FOUNDER
- iPhoneを使って日本で中国の新聞が読めるアプリの紹介
- 最初に版面を見せ,気に入った記事をタップすることでテキスト情報として閲覧できる
- アプリはフリーでコンテンツは月額315円.PCだと無料で読める記事を使っているらしい
- パピレス
- レンタル電子書籍サービス電子貸本Renta!の紹介
- 1冊100円からで48時間閲覧可能.様々なデバイスで読める
- 沖データ
- ドットコードソリューションGrid Layouter Suiteの紹介
- ドットで構成される二次元バーコードをチラシや本の中に埋め込み,赤外線小型カメラで読み取って再生するシステム
- プリントアウトは沖の専用プリンタ
- 絵本の紹介があったが,人目にはどこにドットが埋め込まれているのかわからないくらいの精度で埋め込みができる
- 音階や音楽を仕込んでおき,ペンで音を再生する遊びが面白かった
- 角度を読み取り,3次元映像をペンから操作できるデモもあった
- アイドック
- PDF/FlashのDRMサービスKeyringPDFの紹介
- コンテンツをダウンロードした後で読みたい部分だけ決済→復号して読む方式と,コンテンツダウンロード時に併せて復号キーも購入する方式がある
- Flashにも対応
- 基本的にキャプチャソフトを殺している
- サンプルの閲覧は1分・回数制限等徹底している!
●フォント関係
- モリサワ
- MORISAWA Passportの書体一覧をもらった
- UD書体のパンフレットをもらった
- イワタ
- 書体見本帳 Vol.10をもらった
- イワタUDフォントの紹介冊子をもらった
- 大日本スクリーン
- 千都フォントライブラリーのOpenTypeグリフ一覧をもらった
●その他
- 電通大笠井研究室/DO-NET
- モバイルビデオ配信技術を応用したアプリSkim@Mobile Media Playerの紹介
- SOURCENEXT
- 映画の字幕で英語を学習するコンテンツ「超字幕」の紹介
●所感
- 思ったより人がいた気がした(初日だからか)
- 2時間では他の展示会まで覗く余裕なし.次回はもっと余裕を持って行きたい
- 国際ブックフェアのほうは相変わらず本屋さんの集合体みたいで全然面白くなかった.絶版本の販売とか,その場で電子データDLとか,もっとイベント的なことをやればいいのに
- 海外の版元が多く来ていた気がした.毎年なのか不明
- 電子書籍系はどれもネットや雑誌等,どこかしらで見た/読んだことがある感じの出典ばかりだった
- なので,個人的にこれはスゴイ!と思った出展はあまりなかった
- もっと書籍管理系のソリューションについての出典があっても良かったと思う
- もっとデバイス系の出典があっても良かったと思う
- どのブースもコンテンツが少なめで,ソフトを使って何をどう使うのか分かりづらかった
- フォント会社はサンプルデータを配ればいいのに,紙の見本帳とチラシしか配っていなかった
ドキュメント市場
ドキュメントの市場ってどんな感じなのでしょう.株式会社富士キメラ総研が昨年10月に刊行した報告書に「2008 eドキュメント市場マーケティング調査総覧」があります.本体は有料ですが,目次を眺めるだけでもどのようなジャンルがあり,どのような企業が関係しているのかを知ることができます.
●サービス
- データ入力サービス
- マイクロフィルム作成サービス
- 電子認証サービス
- データ保管・管理サービス
- プリンティングサービス
- タイムスタンプサービス
●製品
- デジタル複合機(デジタル複写・複合機)
- プリンタ(電子写真方式プリンタ)
- 業務用スキャナ
- OCR専用機
- マイクロフィルム機器
- 電子錠キャビネット
- 認証デバイス
- RFID/ICタグ
- 文書管理ツール
- Webコンテンツ管理ツール(WebCMS)
- PDM
- グループウェア
- EIP
- 電子帳票関連ツール
- ワークフロー
- 検索エンジン
- ディスクアレイ
- DRM
- 暗号化ツール
- 情報漏えい対策ツール(DLP)
- 印刷制御/管理ツール
●ドキュメントソリューション提供事業者